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上野 晃生*; 玉澤 聡*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 木山 保*; 猪股 英紀*; 天野 由記; 宮川 和也; 玉木 秀幸*; 長沼 毅*; et al.
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 71(2), p.004683_1 - 004683_10, 2021/02
被引用回数:8 パーセンタイル:60.22(Microbiology)幌延深地層研究計画における地上からのボーリング調査孔であるHDB-6の深度288.7-303.0m区間から採水された地下水中から、新種の嫌気的硫酸還元菌を単離した。これをHN2株と呼ぶ。採水深度の地質は新第三紀堆積岩の稚内層であり、上位の珪藻質泥岩である声問層から珪質泥岩である稚内層への遷移帯に当たる。単離されたHN2株は、温度5-43C及びpH6.5-7.5の環境において成長が確認された。HN2株は、硫酸塩や亜硫酸塩, Fe, マンガン酸化物等を電子受容体とし、硫黄元素や硝酸塩,亜硝酸塩は電子受容体として使用しない。HN2株は、NaClを必要としないが、最大でNaCl濃度4%(w/v)の高塩濃度環境において生息できた。表現型・分子的遺伝情報から、HN2株を新種と判断し、 sp. nov.と命名する。
玉澤 聡*; 上野 晃生*; 玉木 秀幸*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 木山 保*; 猪股 英紀*; 宮川 和也; 長沼 毅*; 金子 勝比古*
no journal, ,
嫌気的環境の一つである陸域地下珪藻質泥岩層は地球上に広く分布しており、北海道北部地域の天塩平野の地下には、新生代新第三紀中新世に形成された海成堆積物から成る珪藻質泥岩層が広がっている。これまで珪藻質泥岩層のボーリングコア試料または孔隙水の微生物群集構造解析やメタゲノム解析によって、発酵性細菌と推測される微生物群の存在は示唆されていたものの、現在まで分離培養されておらずその生理生態学的機能はほとんど明らかにされていなかった。本報告は、幌延深地層研究センターの深度250m調査坑道から採取した地下水から、新規Bacteroidetes門細菌HJ250株の純粋分離に成功したことを報告するものである。HJ250株は、15-37C、pH6.0-9.0で生育可能な絶対嫌気性の発酵性細菌であり、メタン生成菌が利用可能な有機化合物を作り出す能力を持っていることが推測される。また、異なる深度の地下水試料から、HJ250株と100%の相同性を示すDNA配列が検出されたことから、HJ250株は原位置にただ存在するだけでなく、珪藻質泥岩層の特に比較的浅部域における嫌気的有機物分解反応に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。